地面の下から蘇る

すこし夏を思わせるような蒸し暑い1日となった。蚊も出はじめて、これからしばらくは作業に支障が出る。

さて、地面の下から蘇るというと、映画ではゾンビと相場が決まっているが、植物の場合は珍しいことではない。

大抵、寒さに強い植物ほど寒い時期は地上部をすっかり無くして寒さに備え、暖かくなってから顔をのぞかせる。

中途半端に強いものは落葉ぐらいで冬支度を終えるものもおおい。

今年の厳しい冬はそういう種類のハーブがずいぶん寒さで傷んだ。

まず、レモンヴァーベナ。もうほとんど諦めていたのだが、ようやく新芽を確認できた。

レモンヴァーベナ
普段なら上の方の枝から芽が出てくるのだが・・・

ただ、例年なら鉛筆ぐらいの枝から直接葉が覗きはじめるのだが、今年は上の方の枝は完全に寒さでダウンした模様。株元の地下から直接新芽が出てきた。

もう一つがグレープセンテッドセイジ。これもすこし寒さに弱いが、例年なら葉がチリチリになる程度。ところが今年は葉が完全に落ちてしまって春になっても一向に芽吹かない。これもやはりダウンしたかと観念したが、一つは株元近くから、もう一株はやはり地下から新芽が伸びてきた。

グレープセンテッドセイジ
もともとの枝ぐらいになるにはさて、何年かかるか・・・

どちらも今年は株を養生することに力を注ぐ夏になりそうだ。秋までに元の通りぐらいに大きくなるといいのだが。

丁寧な仕事

畑の隅で育っている白花モッコウバラも咲き始めた。冬の豪雪でずいぶん枝が折れたが、その様なことも感じさせない。

白花モッコウバラ
朝日を浴びる白花モッコウバラ

毎年黄色が先で、少し遅れて白が咲く。明るいグリーンの葉に映える白花は超の時期の爽やかさを一層増してくれる。

さて、GW前、苗の出荷が一つのピークを迎えつつある。この季節、日時指定も多いが、苗という性質上、あらかじめ余裕を持って数日前に発送するということができない。発送日が4月28日ならばその日に必ず発送しなければならない。

梱包作業は時間との戦いだ荷物の集荷時間が近づくと、なおさら焦ってくる。

「間違えないように、丁寧に!」

と、自分を言い聞かせるが、未梱包の苗を見るとどうしても焦らざるにはいられない。

そんなとき、苗を固定しているゴムパッチンを見ると焦る気持ちもずいぶん落ち着いてくる。

ゴムパッチンは近くの「放課後等デイサービス・ピピ」の子供達が作ってくれている。

丁寧に10枚づつ束ね、きちんと箱に梱包されて納品されてくることにいつも感心している。

10枚ずつ丁寧に束ねられて納品される

さらに、当店で苗を購入された方は気付かれているかもしれないが、何枚に一枚かの割合で、ダンボールの表面にゴムをかける目安の線が付けられている。

まっすぐに書かれた線には理由があった

どうしてこんな線が引かれているのか、不思議に思ってピピの職員さんに尋ねてみた。

この線がついていると上手にゴムをかけることができる子がいて、その子のためにつけているのだそうだ、しかもそのために、線を引くのが上手な子がこの線を書いているという。

見事な役割分担だし、まさに、ちょうど良い場所にゴムがかけられていて苗もすっと収まるのに感心する。

昔々、我々スタッフでこのゴムかけをしていた頃はゴムをかける位置がまちまちで内側すぎたり、外側すぎたりと、苗を固定するときにも一度かけ直さないといけなかったりして二度手間だったが、いまは作業もスムーズだ。

苗を固定するだけの台なのに、こんなに丁寧な仕事をしていただいていることを考えると自ずから我々の仕事も丁寧になる。

お客様のところでも丁寧に育てていただけるに違いないと思いつつ、梱包作業は続く。

中庸

気温がずいぶん高くなってきた。ようやくレモンヴァーベナやレモングラスに成長が見られるようになってきた。いままでほとんど育たなかったバジルも今後少しは成長が見られるだろう。畑の隅では太陽と競うかのようにポットマリーゴールドが鮮やかな花を咲かせ始めた。初夏も目の前である。

ポットマリーゴールド

冬の寒さで葉が全部落ちてしまったマートル。葉が傷むことはあっても、いままで全部落ちるようなことはなかったので、もしかしたら寒さで枯れてしまったのかもと半ば諦めていたが、4月も下旬となってようやく太い幹から真っ赤な芽が見え始めた。

マートル
鮮やかなグリーンの葉も、出だしは真っ赤!?

どうやら生きていたようだ。さすがに今年は開花はしないかもしれないがこのペースで復活してくれたらと思う。

さて、気温が上昇してくると、苗の水やりが特に難しくなってくる。冬場なら少々目を離していても急に水切れすることはないし、真夏ならジャンジャン水やりしてもまだ大丈夫だ。

ただ、この時期はちょうど苗たちの成長も重なる時期だし、気温の上下も激しい。また、湿度も急に低くなったり高くなったりして油断ができない。本当に気を使う。そんな条件なので水やりを管理するスタッフの間でも意見が別れることがある。

スタッフA氏は、乾燥しすぎるのを心配する。乾燥しすぎると、特に湿り気を好むハーブの場合などひどい場合は苗が枯れてしまうし、一旦土が乾ききってしまうと今度は水を吸いにくくなる。

スタッフB氏は、湿らせすぎるのを心配する。湿らせすぎると、乾燥を好むハーブは根腐れを起こしやすくなるし、根が伸びにくくなったり徒長や病害虫の原因になったりする。

どちらの言い分もそれぞれ理にかなっているのでどちらかに軍配を上げることは難しい。

ミントやレモングラスなどは、「ガンバレ~A!」とエールを送り、ラベンダーやタイムなどは「いいぞ!B!」と応援していることだろう。

いずれにせよ、湿らせ派と乾燥派、両方いることで育苗環境の中庸が保たれているに違いない。幸せな苗たちである。

改良への道

ーーーーーーー(ご挨拶) 4月9日の地震に関してーーーーーーー

4月9日未明に発生した島根県西部・大田市を震源とする地震で、被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。

あわせて、当店にもたくさんの皆様からお見舞いや安否確認のメールなどをいただきました。ありがとうございました。

ご心配おかけいたしましたが、ここ松江は震度4で、それほど大きな被害はなく、実店舗や圃場、ビニールハウス、ハーブたちにも被害はありませんでした。

普段あまり地震がない地域ですので、真夜中の揺れにはさすがに驚きました。

今後も余震に気をつけて過ごしたいと思います。ご心配いただき、ありがとうございました。

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この季節は気温の上昇とともに、ハーブたちの成育も盛んになる。

気温が下がっていく秋に比べると成長の違いがわかりやすいので、成長のテストをするにもいい季節だ。

今年も、先日から用土の改良を目的としたテストを行っている。

用土のブレンド比率を変えたり、別の用土に変えたりして成育具合を調べる。

用土試験

いずれの写真も同じ時期に挿し木したもので同じ時期にポット上げ、同じように育てている。違うのは用土を少し変えただけだ。

用土試験

それでもこれほどの違いが出てくる。実際見ていて面白い。

もちろん、予想と違うことも多いし、相手は植物なので思いもしなかった不具合が出てきてうまく進まないことも多い。とはいえ、今のままで満足しているわけにもいかない。

いつも愛飲している地元の自家焙煎コーヒーのお兄さんも、もう何十年も続けているけれど、「自分自身も成長するが、焙煎技術や道具も日々進化し続け、自分の焙煎するコーヒーも進化している」とおっしゃっていた。

もちろん、改良して作り上げたものなのに、一部のお客様には「前の方が良かった」と不評となることもあるそうだ。

だが、立ち止まっていては先細っていく運命が待っている。何かと引き換えにしてもよりよくしていく努力は必要だろう。

もちろんこの土も、この先どう育っていくか、また、他の季節での成長具合、他のハーブでの成長具合なども調べる必要がある。特に夏場に水が切れやすいと管理が大変だったりするので、その点にも気をつけながらブレンドを微妙に変えていくが、実際に採用となるのはごくわずかである。なかなか改良への道は長い。

春の動き

このあいだまでの初夏を思わせる陽気とはうって変わって、昨日の午後からは少し冬に逆戻りしたような天気となった。

今朝など冷たい風が強く、作業場ではもうつけないと思っていた薪ストーブも点火された。例年の予定では4月の下旬に片付けるので、やはりまだ早かったようだ。片付けなくてよかった。

薪ストーブ
やはり火の暖かさは格別

それでも、ここ一週間の暖かさでずいぶん春の動きが見え始めてきた。

特に、寒さでダウンしていたのではと思われるハーブたちが徐々に姿を見せ始めてホッとしている。

ゴールデンヘリオトロープ
ゴールデンヘリオトロープ

定期的に手入れをしている市内の病院の花壇。今年の冬はさすがに・・・とほぼ諦めていたゴールデンヘリオトロープが芽吹き始めていた。むしろ、少し離れたところにある紫色のヘリオトロープのほうが勢いが悪い。紫色の方はギリギリ屋根にかからないところなので冬の寒さの影響が大きかったのだろう。

ヘリオトロープ
普通のヘリオトロープ。こちらの方が寒さには強いはずなのだが・・・

一方、今年の強烈な寒さでかえって勢いづいたようなハーブも多い。

エキナケアプルプレアもその一つ。例年は冬の間も中途半端に葉が残っていたりするのだが、今年は寒さで傷んでしまった。その代わり、遅れを取り戻そうとするかのように勢い良く葉が伸び始めていた。これなら今年もたくさん花を楽しめそうだ。

エキナケアプルプレア

一番心配していたのが、建物の北西に当たるところに植えていたローズゼラニウム。冬、剪定するのが一歩遅れてもろに一番強い寒波を受けてしまった。雪が解けた後にはもうカリカリになっていたので、剪定はしたものの株はダウンしたと諦めていた。

ローズゼラニウム
株元から新芽が出てきて安心。

ところがしっかり株元から新芽が伸び始めていて安心。特に珍しい種類というわけでもないが、やはり何年もここで育ってきたかと思うと生き残っていてくれて嬉しい。

アンソニーパーカーセイジ
アンソニーパーカーセイジ。案外強い。

その隣のアンソニーパーカーセイジも早々と新芽を見せていた。これも秋までには胸ぐらいまで伸びることだろう。いずれにせよ一安心である。